医学部受験で小論文・面接試験が課される「真」の理由②

前回は国公立医学部で課される小論文(ないしは志望理由書の提出)・面接試験の実施による受験生の負担について考察したが、私立医学部の場合は果たしてどうであろうか?
私立の場合も事情は大きく変わらないと考えられるが、国公立以上に厄介な点もあると言わざるを得ない面もあるので、以下に記していきたいと思う。

志望理由書など願書の書き方に十分注意が必要

私立医学部も出願の時点で志望理由書の提出を要求しているケースが多いが、国公立医学部の場合、昨今の入試制度改革の影響で他の学部と横並びで志望理由書の提出を要求しているに過ぎず、従って採点者側も成熟の域には程遠く記入欄が穏当な内容で8割以上埋められていれば、志望理由を得点化する場合であっても満点を与える、といった程度の評価しかしていない所も現状では少なくはないと考えられる(ただ次回以降述べていく通り医学部医学科の志望者であればこの様な「ざる採点」が実施されている事に期待を寄せるべきではない事は言うまでもない)のに対して、私立医学部の願書内での志望理由や、主に高校等の既卒者に対して求められるそれまでの履歴の記入の要求は、大学によっては半世紀以上連綿と行われているものであり、採点者自身もかつて今と殆ど変わらない願書を記入した経験があったりする為、NGとされる記述内容も採点者間で共有され大学内で明確化されている可能性が極めて高い。

志望理由次第で不合格になる可能性もある

尚、極端な事例ではあるが、某難関私立医学部の出願に際して数行程度の志望理由を書くのが億劫になり、空欄で提出した受験生がかつていたとの事である。彼は学科の能力等は極めて高く、1次試験を軽々と突破し、2次試験も問題なく受験を終えたものの、志望理由に一切記載がない事が大学内で問題視され、最終の合否判定に際して教授会にかけられたとの事であった。幸い彼はその年の全受験生の中で五指に入るレベルの成績優秀者であった為、最終合格を勝ち取れたのであるが、この自由に満ちた医学部(具体的にどこなのか聞きたい方は四谷メディカルへどうぞ)においてでさえ、教授会にかけられるというのは只事ではない上に、中途半端な成績であれば不合格になっていた可能性も十分にあると言える。
更に、同レベルの医学部で受験生にある意味過度なまでに厳格性や勤勉性を要求する所(こちらも具体的にどこなのか聞きたい方は四谷メディカルへどうぞ)に、同じ様に志望理由を書かずに出願したならば最終合格はおろか、不備があるという事で出願書類が戻ってきてしまい、出願期間内の補完が出来なければ1次試験の受験すら叶わなくなる事は想像に難くはない。

勿論私立医学部を真剣に志す皆さんが、どんなに億劫だと感じてもいつぞやの彼の様に志望理由を一切書かずに願書を提出する事は考えにくいが、先述の通り採点者も成熟の域に達している可能性が高いので、物理的に何らかの記述があったとしても一切評価に値しないとみなされている可能性もある事には注意を要する。志望理由書により1次試験を待たずして大きなビハインドを背負ってしまうリスクを避ける為にも、私立医学部の出願が始まる受験の前年の12月までには志望理由の書き方を含めた小論文の正しい作成法をしっかりと身に付けておきたいものである。上記を踏まえ、次回はいよいよ私立医学部の2次試験に踏み込んでいきたいと思う。(続く)

関連する記事