医学部受験で小論文・面接試験が課される「真」の理由㉗

先の見えない日本社会

このコラムの熱心な読者である小学生或いはそれよりも年少の方というのも少数派かも知れないが、その年若さで内容は言うに及ばず形式的に見ても和漢混淆文の様な本コラムを愛読している方がいらっしゃるとすれば、そのインテリジェンス並びに意識の高さは日本一の富士山にも勝るとも劣らないと評して間違いはないであろうから、その期待に応えられる様な内容を本日は記していきたいと思う。
小学生の皆さんも先の見えない日本社会において日々進路について悩んでいる事だろうと思うが、やはり忍者(くのいち)になりたいと願う方も少なくないかも知れない。もっとも本コラムの愛読者であれば、それは現代社会において叶わない夢だという事は理解しているのであろうが、それでも忍者への憧れが捨て難いものとなっている可能性もある。前回書いた通り忍者が時代劇にしばしば登場するのは言うまでもないが、皆さんも親しんでいるであろう、近未来を舞台にした特撮やアニメにも忍者をモチーフとしたパワードスーツやロボットで闘う人物(仮に忍者キャラと呼ぶ事にしよう)が登場する事は多い様に思う。

忍者キャラが主人公をも上回る人気

そしてこの忍者キャラが主人公をも上回る人気を博する事も少なくはないのは、皆さんも記憶に留めている可能性は高いと私は推測している。それもその筈で、少なくとも物語の序盤から中盤において忍者キャラは主人公よりも遥かに強いケースも珍しくないからである。全員が忍者キャラという戦闘員集団は除くとして、主人公は一般的に戦闘員としては忍者よりも格上と見做される侍や騎士をモチーフとしている事が多いが、それ故主人公は直線的な戦いのみを考えるのであれば忍者よりも強いのであろうと推測出来るものの、忍者キャラが少々トリッキーな戦法を駆使するだけでなす術もなく敗北するというのが物語の当初に描かれる典型的な構図であろう。勿論忍者キャラも主人公サイドなのである(敵か味方か分からない様な演出がなされていたとしても、結局は主人公側につく事が多いが)から、本気で主人公を討ち取ろうとしているのではなく、慢心を戒め更なる鍛錬を主人公に促す為に主人公に上には上がいる事を悟らせようとしているに過ぎない訳だが、ここから主人公の厳しい修業が始まるのが物語の見せ場の一つとなるのである。そして物語の終盤では心身ともに大きな成長を遂げた主人公が魔王(人間なのか異星人なのか、はたまた人間以上に賢くなったAIなのかは不明だが、便宜上ラスボスをこの様に呼んでおく事としよう)を討ち取る展開となるのはお約束だが、少し冷めた視点で物語を追ってきた皆さんであれば「どうせ今度はこいつ(主人公)が魔王になって、人民を苦しめるだけだろうが」とツッコミを入れながらラストシーンを眺めている事であろう。しかしここでも忍者キャラの存在感が際立つのである。忍者キャラは最終回の1話前か、最終回の前半辺りで主人公の為に突破口を開く事を目的として自らの命を散らしているかも知れない。これがある意味ラストをも上回る物語の大きな見せ場となる事は間違いないが、実はこの後ラストシーンで皆さんの愛してやまなかった忍者キャラの生存を伺わせるカットが挿入されたりするので、先述の様な冷めたツッコミを入れていた皆さんも、「成程、主人公がこの先新たな魔王になりそうになった時はあの忍者キャラが道を正しに来てくれるんだろう」と安堵しながら一つの物語に別れを告げる事であろう。

史実に一切基づかない完全なフィクション

もっとも、皆さんにとってこれ以上ない程印象に残るのはストーリー上のあれこれではなく、特に忍者キャラがイケメンや美女だった場合に、「お付き合い」という名目で皆さんの傍らで物語を追い続けたお母さんやお父さんが、皆さん以上に物語に夢中になってしまう事の方かも知れないが、それはさておき、史実に一切基づかない完全なフィクションとなれば忍者のカッコ良さが一層際立つ事は論を待たない。それだけではなく、先述の私の「謎シナリオ」における忍者のポジションが近未来においても重要である事を示唆しているとも考えられる。だからと言って私は若い皆さんが大手を振って忍者(くのいち)を目指す事を応援しようとは思わないが、一方で医師になれば先述の様な忍者のポジションを近未来ではなくまさしく現代の社会において占める事が出来るであろうとも推測出来る。ここで唐突に医師を持ち出すと、冷めた読者の皆さんからは「成程、これは医学部予備校のコラムですから、結局そこに向かう訳ですね」という冷静なツッコミが入る事も私にとっては想定の範囲内である。勿論大人な皆さんであれば、ほぼ誰でも自由に繋がれるインターネット上であるとは言え、文字通り対価なしで読める読み物等現実には存在しないという事を嫌という程に分かっているとは思うが、そういった営業的な側面を抜きにしても、医師になれば皆さんの心を打つ忍者キャラの様な活躍が実際に出来る可能性は高く、その可能性は前回述べた通りお爺さんお婆さんの医師の方が更に高められると評して過言ではなかろう。気になる詳細については、次回説明していきたいと思う。(続く)

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