医学部受験で小論文・面接試験が課される「真」の理由⑦

試験日程重複解消の新たな手段

今回も引き続き多くの受験生が無理だと諦めてしまう様な、私立医学部の2次試験同士、或いは2次試験と実施時期の遅い1次試験との併願を可能にするまさかの戦略、いわば「ウルトラC」について語っていきたいと思う。前回と前々回の内容を理解している熱心な読者の皆さんであれば「あれを超えるウルトラC等どこにあるのだ?」と思うかもしれないが、考えようによっては今回紹介する方策の方があらゆる受験の常識を打ち破る、ある意味画期的な方策であるとも言える。それでは詳細について見て行こう。

首都圏在住でも地方会場で受験する

以前書いた通り、地方に所在する大学も含めて、私立医学部の1次試験の多くは首都圏で実施される反面、首都圏だけで実施されている訳でもない。つまり所在地が首都圏以外の大学であれば本学でも試験が実施されるのは言うに及ばず、首都圏以外の大阪や名古屋の様な大都市圏にも試験会場を設けているケースもある。勿論首都圏在住者であっても、首都圏に所在する大学の1次試験を首都圏以外の試験会場で受験しても構わないのであるから、地方部に所在する大学の2次試験を受験した後で無理に首都圏まで戻ろうとするのではなく、一番近い(或いは交通の便を考慮して一番到達しやすい)会場まで辿り着く事を考えるのであれば、縦令前日の2次試験からの解放時間がかなり遅くなったとしても、夜遅く、または翌日の早朝の移動であっても、翌日の朝から実施される1次試験の開始時間に間に合う可能性は大いに高められるのである。

合格率に影響はないのか

それにも関わらず「首都圏以外の試験会場で1次試験を受験すると合格率が低いから、その様な試験会場での受験は避けたい」といった詭弁を弄し、絶対に首都圏まで戻らねばならないという呪縛の様なものから逃れられない受験生も少なくはない様に思うが、果たして首都圏以外の試験会場は本当に合格率が低いのであろうか?
私はこの質問に対してははっきりとNoと答えておきたいが、強いて言うならば合格率が毎年低い訳ではなく、年度毎のばらつきが非常に大きいというのが真実であろう。

会場毎の合格率は上下して当然

私立医学部の入試に関するデータを詳細に見た事がある人なら分かると思うが、地方に所在する大学の場合、全国の受験生が受験シーズンは首都圏に本拠地を構える事が多い影響を受けて、首都圏会場の受験生が4桁いるのに対して、本学会場の受験生は2桁しかないといった事も珍しくない。そして中学・高校で統計的な内容も含んだ数学を学んでいる受験生の皆さんに改めて説明する必要もないであろうが、受験者数が少なければ年度毎の合格率に大きなばらつきを生じる事は不可避となるので、首都圏の会場と比べてある年は合格率が低くとも、またある年は合格率が高くなっている事も十分にあり得る。
もっとも、受験生の皆さんにおいてはこの様な事を調べるのに時間を割くのではなく、受験勉強に勤しむのは勿論、最短時間で到達出来る交通手段の検索にこそ時間と労力を割くべきである。

タイトなスケジュールによるリスクはある

また試験当日早朝の移動に違和感を覚える人もいるかもしれないが、確かに前日までに試験会場近辺のホテル等に到達しているのが理想ではあるものの、私が今論じているのは受験雑誌に掲載されている様な理想的な受験スケジュールではなく、多くの受験生が諦めてしまう様な併願を可能にする為の方策である事を忘れないで欲しい。確かに悪天候等の理由により飛行機のフライトがキャンセルされるような事があれば、その瞬間に受験が不可能となってしまうのがギリギリに移動する際の難点ではあるが、そもそも普通に考えたら両立出来ない様な受験を実現しようとしているのであるから、一定のリスクは甘受せねばならばならないと言えよう。一方で何らのアクシデントもなく無事受験出来れば、ことによると「不戦敗」を受け容れざるを得なかった憧れの志望校の最終合格さえも現実のものになり得るのである。真摯に志望校合格を目指す皆さんが取るべき方策は自ずと分かるのではないだろうか。(続く)

関連する記事