私はこれまで多くの医学部受験生を見てきましたが、俗に言われる多浪生も大勢いました。
色々な予備校に通い、ある年は家庭教師だけで一年間を送ったり、という受験生は少なくありませんでした。中には私の所へ辿り着くまでに10年以上の浪人生活をしてしまったという方もいました。
そこで、「一年で医学部に合格してもらう」ための予備校として、“四谷メディカル”を開校しました。この四谷メディカルのカリュキュラム・ポリシーは、氾濫する医系予備校のあり方に着目することで生まれたものです。
幸い、そうした超多浪生と呼ばれた彼らは、私の指導に沿って一年間の受験勉強をしてくれたので、ほとんどの方が医学部に合格しました。
予備校費用が予定よりも高くなってしまう訳とは?
これまで何年も医学部浪人をして医系予備校に通い、入学して少しすると、個別指導を勧められた経験はありませんか?
それは段々増えていき、気が付くと相当な個別指導の授業でスケジュールが埋まっていて、勉強時間が足りなくなっていきます。
その結果、医学部に1校でも合格すれば良いのでしょうが、全滅。
さて、一年間で予備校費用が幾らかかったと計算してみると、一千万円を軽く超えていた、何ていうことはよくある話です。
入学の際には、学費は150万円ということで他校より安いと思って決めたのに…、と頭を抱えてしまいます。
医系予備校では、こうした状況がなぜ起きるか?
その理由の一つに、フリーの時間講師たちの存在があります。
彼らの中には、医学部受験など指導できる能力もないのに、堂々と教えている者がいかに多いことでしょう。
彼らの時間給はとても高く、さらに稼ぐために個別指導の勧誘をするのです。生徒を合格させる力などなく、いえ、初めからその気がない者も少なくないでしょうが、自分たちが大金を稼ぐために予備校講師をやっているのです。
この蜘蛛の巣にかかってしまうと、医学部多浪生として何年も予備校を変えながら浪人することになります。
医学部多浪を終えるために受験生がするべきこと
多浪生の多くは次の二つの問題を抱えていたのです。それは、
①何年浪人しても一向に学力が伸びない
②毎年1次試験には何校か合格しても、2次試験には不合格になる
実はこの問題は、本人だけが原因ではないのです。
彼ら、彼女らの話を聞いてみると、受験生活の送り方に失敗に原因があり、それは通っている予備校や家庭教師の指導に基づいていることが多かったのです。
医学部受験のために予備校に行くと、たくさんの授業を受けます。
ここで、これを読んでくださっているあなたにお尋ねしたいのは、
あなたはこうした経験がありますか?
YES or NO
YESと答えてくださったあなた、それらの授業はどれだけ入試に意味がありましたか?
逆に、たくさんの授業と、各科目の講師が出す課題や宿題で、一年が終わってしまったという経験はありませんか?
十分に問題演習がやれなかった、赤本すら手を付けられなかった、という方、多いのではないでしょうか。
これが、翌年も浪人をしてしまう大きな原因のひとつです。
予備校の授業に一生懸命ついて行っても合格しなかったのでは?
それでは、医学部多浪生は何をどうすればよいのでしょうか?
まず、適切な指導をしてくれるコーチ選びが大切です。上記の様な経験がある場合、不合格の責任は予備校と講師たちにあります。どこの医学部をどう受ければよいのか、出願書類には何を書けばよいのかを医学部別に有効な指導をできるプロには、私はあまりお会いしたことはありません。多くは適当ですので注意しましょう。
また、医学部1次試験合格を満たすための最低限の学力をつけてくれる予備校選びは重要です。
現役や一浪生と多浪生の勉強の仕方は大きく違います。気力、体力を考えても違うでしょう。5浪生には5浪生に合った勉強方法があります。私が長年、多浪生を医学部に送り出してきた理由はここにあります。
医師になるための関門として入試問題を作り、面接を行い、そのための願書を書かせています。
これを理解していれば、一年間で突破する対策(勉強術)はあるのです。
予備校がそれをやらないのは、ノウハウがないからか、何年か通って欲しいからか、手間がかかり儲からないからのいずれかでしょう。
医学部多浪は終えることができます。
入試に合格するための適切な勉強術を行えばよいのです。
あなたがある病気になったとします。
受診した先の医師があなたの病気を正しく診断して適切な治療、適切な薬の処方をすれば大抵は治りますが、間違った診断をすれば悪化する可能性があります。
これが多浪のメカニズムなんです。
医学部は受験生の学力によって勉強の中身は変わりますが、適切な方法で勉強すれば、一年で合格できる試験なのです。
医学部多浪を終えるために四谷メディカルができること
これを実践するには、私たち予備校側が二つの条件を用意することが必要になります。
それは、
①生徒を医学部に合格させるだけの力量をもった専任講師を生徒の人数7~8名あたりに1名確保すること。
②医学部受験に精通した経営者が講師たちを統括すること。
です。
医学部予備校・四谷メディカルが、①に該当する人材を確保した結果、生徒の募集定員は36名、最大でも40名という結論に達しました。
科目別には力のある先生は予備校業界には少なくありませんが、多くは時間講師かフリーの契約でしかやってくれません。
あくまでも専任講師でなければならないのです。
そうでなければ、あなたの医学部受験の1年間、それは人生の中の貴重な1年間でもありますが、
そのことに、誰が責任を持ってくれるのでしょうか?
医学部全体の混乱を招いた東京医科の問題
医学部には多浪の後医学部に入学してきた学生に不快感を抱いた経験を持つ先生方がいらっしゃいます。
また、少子化の影響は医学部にも押し寄せるだろうという懸念や、大学病院の格付けの意味からも国家試験合格率にこだわる医学部は多いのですが、近年ではコンサル会社に、経営に関し様々な指摘や助言を行ってもらう大学も少なくなく、その報告書の中では多浪生が国試にあまり良い影響を及ぼさないという内容が目につきます。これも近年の多浪生排除の一因になっています。
一方で、現役や一浪で入学してくる学生よりも5浪、6浪と多浪をして入学してくる学生の中には苦労人がいて、それこそが、他人の痛みを知る良医になれる素養だと考えている先生方も少なくありません。実際、私もそんな素養を感じる多浪生を大勢医学部に送り出してきました。現在、多くの患者さんたちから名医、良医として尊敬されている医師を何人も知っています。
今何が起きていて、医学部受験生は来年度以降どう向き合えばよいか?
騒動のあった2018年は、現場は混乱していました。各医学部は自発的に繰り上げ合格を出すなどの対応をして、医学部全体で凡そ足並みを揃えながら混乱の収拾に努めている様子が伺えます。
今後は世論に注視しながら、行政や他の大学の動きも考慮して、各大学は医学部受験の独自の方針を打ち出していくことになるでしょう。
従って、多浪生にとっては、2019年度・2020年度は勝負をつけるチャンスと考えてください。