医学部受験で小論文・面接試験が課される「真」の理由④

私立医学部受験における不戦敗

私立医学部入試には不戦敗というものも存在する。勿論、事故・病気等の理由で本試験の受験が出来ず、振り替え受験も叶わない為に結果として受験さえする事なくその学校に入学出来る可能性が無くなるという意味での不戦敗もあろうが、それは受験生本人にとってはこれ以上ない悲劇である反面、その様な不戦敗であればあらゆる入学試験につきものであるから、ここで改めて強調する実益もないであろう。

受験日の重複

私立医学部において多くの受験生が洗礼を受ける事になり得る不戦敗とは、前回述べた通りの2次試験同士、或いは2次試験と実施時期の遅い1次試験との日程の重複により、自分が本来受験したかった医学部を受験する事が出来なくなり、受験放棄した瞬間に入学出来る可能性が自動的に皆無となる事である。ただあらゆる勝負事について言える事だが、この不戦敗というものこそ、出来る限り回避していきたいものであるから、今回は可能な限りの回避の方策を考えていきたいと思う。

試験会場へのアクセスによる負担

私立医学部入試についてもう一つ気に付けておかねばならない事、それは2次試験の会場である。現代の私立医学部受験生にとっては、一部の例外を別にすれば全国の私立医学部の1次試験が東京やその近郊で受験可能であるというのは最早常識となっているであろうが、何とはなしに2次試験も同じ様なものであろうと推測する態度は厳に慎まねばならない。2次試験でもサテライト会場を設けるケースはごく一部に過ぎず、従って二次試験は原則として大学所在地で実施されるのが原則となるからである。
勿論東京や首都圏の大学であれば、サテライト会場が設置されようがされまいが、首都圏に住んでいる受験生にとっては多くの場合日帰りが可能な距離である為、大した問題にもならないであろうが、地方の医学部の場合わざわざそこまで出向かねばならなくなるから、2次試験の前後が移動時間として必要である為、2次試験受験の為に正味3日が必要となり得る事も覚悟しておかねばならない。
しかも比較的合格しやすいとされる地方の医学部程、1次試験の日程が早めである事が多いので、最終合格を早めに確保したいと思えば思う程、場合によっては先述の通り正味3日を費やして必ずしも第1志望とは言えない大学の2次試験を受験せねばならなくなるかもしれない。だが試験日そのものの重複だけでも忌忌しき問題であるにも関わらず、過密なスケジュールの私立医学部入試において3日失われるのは大きなダメージであろうし、まして地方の私立医学部を多数受験し、2次試験受験の為に移動も含めて相応の日数を要するとなれば、実施時期の遅い1次試験の受験等ほぼ不可能と評しても凡そ語弊は無いであろう。

負担軽減のための施策

それではどうすべきであろうか? まずは志望大学の募集要項の2次試験に関する記述をしっかりと確認してほしい。2次試験の実施日程が複数ある場合、受験生が希望の日程を自由に選択可能となっているケースがある。勿論、多くの場合過密なスケジュール中の2〜3日から選択出来る程度に過ぎない為、受験予定の全ての試験日程の重複を排除するには到底及ばない事も少なくないが、是非とも受験したい所の日程位は確保出来る可能性が大いに高まる事となる。
尚、2次試験の日程が自由に選択出来るケースであったとしても、何れの日程でも構わないとした方が、心証が良くなり最終的に合格出来る可能性も高まるといった俗説も未だにある様だが、その様に考えられる客観的根拠はないに等しいので、真にどの日が2次試験でも構わない受験生を別にすれば、自分の希望を明確にする事が望まれる。
多くの受験生が無理だと諦めてしまうレベルの重複を解消し双方の受験を可能にする、いわばウルトラCとも呼ぶべき併願作戦も存在するが、それについてはまた次回語っていきたいと思う。(続く)

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