医学部受験で小論文・面接試験が課される「真」の理由③

今回は待望の、私立医学部2次試験の全貌に迫っていきたいと思うが、面接や小論文、その他適性試験といった具体的な試験の中身以前に気を付けねばならない事がある。それは2次試験の実施日程・実施場所についてである。

2次試験の現実

多くの時間を取られる

その名の通り、主に学科試験が課される1次試験とは別個の日程で課されるのが私立医学部の2次試験である。従って私立大の通常の文系・理系学部を受験するのであれば基本的に1日の受験で最終の合否判定までなされるのに対して、私立医学部を受験するとなればそれだけで最終合否判定までに1校につき2日(しかも1次試験は科目が多く、2次試験は面接の順番が遅ければ午後6時過ぎに解放される様なケースも少なくないので、文字通り2日間朝から晩までの受験となる事を覚悟しておくのが賢明である)の受験が必要となるだけでも、受験生にとって負担増となる事は言うまでもないが、問題はそれだけではない。

日程重複は当たり前

最近の私立医学部入試は、1次試験の実施日については一部を除き基本的に重複が起こらない様に調整している事が多いが、残念ながら2次試験については医学部受験カレンダーを見る限り、その様な配慮がなされているとは到底思えない。
しかも1次試験で合格した所の2次試験同士が重複する事もあれば、2次試験と実施時期の遅い1次試験とが重複する事もある。
何れの場合も受験生は医学部専門予備校のアドバイザー等、然るべき指導者の意見を仰ぎつつ、大いに悩みながら最終的な受験校を決定する事になるが、特に後者のケースでは、1次試験の実施時期が遅い所は所謂難関校であり、従って多くの受験生にとって志望順位が高いものの、やはり1次試験で合格している所を優先して受験校を決めてしまい、そこに最終合格を果たしたとしても、「あの時志望順位の高い方の1次試験を受験していればどうなっていただろうか?」といった夢想に走ってしまう医学部合格者も少なくはない。

まずは医学部に進学することが大切

当たり前の話だが人生にif等ない。よって現実の受験結果を受け止めて前に進んでいくしかないのだが、それ程後ろ向きな話でもなく、何れの大学であれ医学部に合格していれば、医学部における然るべき学習を最低6年間継続し医師国家試験に合格すれば医師としての第一歩を踏み出せるのである。
しかも先ほど便宜上「所謂難関校」という表現を用いたが、現状において医学部は何れも難関であり、一部揶揄の対象になる様な医学部も未だにあるものの、それはかなり上の世代の感覚に過ぎず、これからの社会で大いに活躍するであろう、若い世代の感覚としては「どの医学部も東大理Ⅰよりは入学するのが難しい」という感覚が支配的(この様に思っていない人は大学受験に余程興味がない層のみに限定されるであろう)であるから、どの医学部に進学する事になったとしても決して恥と感じる必要等ないのが現状であると言える。
しかしこの様な現実に気付かず、或いは気づいてはいても拭い難いコンプレックス故に合格した医学部に満足出来ず、これからの未来を切り拓いていく上で不可欠である筈の医学部における学習に身が入らない人もいれば、結局合格した医学部を蹴ってしまったり、5月位で早々と中退したりする等して再び医学部受験に向かう人もいる。この様な悲劇を招かない為に何が出来るであろうか。勿論万能の解は存在しないが次回以降考えていきたいと思う。(続く)

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