医学部受験で小論文・面接試験が課される「真」の理由⑧

コラムへの違和感

それにしてもこのコラムの前回分を一読して、拭い難い違和感を覚える読者の方が少なからずいるのではないだろうか? 「内容がぶっ飛び過ぎていて全てに対して違和感しか覚えない」という正直なコメントをされる方もいらっしゃるかも知れないが、ただこのコラムも今回で8回目であるから、その様な感想しか抱かない方は既に脱落しているか、考え方を変えて一種のエンターテインメントとしてこのコラムを読み続けていらっしゃると考えられるので、この感想に対してはあなたの一貫性のある価値観で違和感を覚える内容しか書いていないのであれば、些か逆説的ではあるが文章全体としては一貫性があるのだという返答をするのみに留めておきたいと思う。

受験生に対して戒めておくべき点

謎掛けの様な始まり方をしているが、真剣に医学部合格を目指す受験生やその保護者の方の視点で捉えて、前回は受験生に対して戒めておくべき点を戒めていないのではないだろうかと考えつつ前回の内容を思い出すか読み返してもらうと良い。すると交通手段の検索を受験生本人がする事を特に戒めていない事に気が付くであろうが、前回のコラム内では戒めていない一方で励行している訳でもないものの、結論から言うと受験生自身が受験時の移動に関する交通手段の検索をする事を私は励行したいと考えている。もっとも大学入試はもとより、今や国内で実施されているあらゆる試験の中でも最難関の一つと言って間違いない医学部入試に合格したいと心の底から望むのであれば、受験勉強以外の活動に割く時間は最小限に留め、文字通りの「総力戦」と考えて日々の学習に取り組むべきであるという私の立場は何ら揺らぐものではないが、柔軟かつ大胆な思考をするという意味で、通常の受験勉強に匹敵する位の価値が、賢い交通手段の検索にはあると考えられる。

種綱渡りの様な受験スケジュール

これまで述べてきた様なある種綱渡りの様な受験スケジュールを立案し、保護者の方が理解してくれた場合、心優しく聡明な保護者の方々は我が子の時間的な負担を軽減すべく我が子に代わって交通手段の検索をすると申し出る事であろう。しかしそこで注意せねばならないのは、失礼を承知で言えば皆さんの尊敬する保護者の方々であっても交通手段の検索の玄人等とは程遠く、単なる素人であるケースが大多数という事である。

不測の事態に備えてシミュレーションしておく事

高学歴であるが故に、或いは学歴を超越した内面から溢れ出る様なインテリジェンスを持っているが故に「聡明」と評価される様な人物であろうとも、これまでの人生経験によっては交通手段の検索と無縁の世界で生きているのは紛れもない事実である。何れの難関大学の入試でも交通手段の検索について課されない事を考慮しても、前者のタイプの聡明な人物はほぼ何の役にも立たないであろう。勿論後者のタイプの聡明な人物であればこれまでの経験が浅くとも検索にもあっという間に適応して最適な交通手段を皆さんに提示してくれるであろうが、それだけ能力のある保護者様が試験会場まで同伴出来るとは限らず、同伴がない場合移動当日の突発的なアクシデントには対応出来なくなってしまう。もっとも皆さんの保護者様がフリーランスかつ際立った技術を有する眼科医•外科医•麻酔科医等の医師、或いは全国ないしは全世界への出張が頻繁にあるハイクラスなビジネスパーソンで、交通手段の検索もまさしくプロ級というケースもあるかもしれないが、その様な方であれば尚更幾ら大事な子息•子女の受験であっても同行する事は不可能となる場合の方が多くなるであろうから、やはりイレギュラーの発生時も含めて自分で対応出来る様にする事が不可欠であると言える。従って聡明な保護者様が具体的な交通手段を提示してくれる事があろうとも、そのルートを事前に自ら検証して、どの様な点が弱点で、他にどの様な交通手段が考えられ、不測の事態に陥った場合に追加でどの様な検索が必要かといった点までシミュレーションしておく事が望まれるのである。

効率的な移動を心掛ける

「しかし現代において交通手段の検索はそれ程大変なものなのか?」と疑問に思っている読者の方も多くいらっしゃるであろうが、ネット上で無料で利用出来る交通手段の検索サイトには大きな落とし穴も存在する事は否定出来ない。その様な弱点をどの様に克服するかは次回話していきたいと思う。医学部受験生のみならず効率的な移動を心掛ける全ての方に読んでもらえれば私にとっては望外の喜びである。(続く)

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