医学部への編入は難しい?条件・倍率・難易度を紹介

医学部への編入は難しい?条件・倍率・難易度を紹介
仮面浪人の方や社会人の方であれば、医学部を目指すに当たって、「編入する」という選択肢があるでしょう。結論から言えば、医学部に編入することは可能ですが、そのためには条件や時期など、制限があります。

一般入学にするか、編入するかの参考になるよう、医学部に編入する条件や方法をご紹介します。

そもそも編入とは?

編入とは、大学や短期大学、専門学校の学生が、別の大学に編入できる制度です。編入するには編入学試験に合格する必要があります。希望する大学の編入学試験に合格すると、2年次もしくは3年次から学生生活を始められます。

本来行きたかった大学や学部を断念して別の学校に進学したものの、あきらめきれずに再度チャレンジしたい方も、編入制度を利用すればもう一度希望の大学や学部を目指せます。編入試験では、基本的に大学入学共通テストの受験は不要です。

参考:大学への編入学について|文部科学省
関連記事:社会人にとって編入試験は本当にお得?1年で医学部合格を目指そう!

医学部に編入することはできるのか

医学部であっても編入することはできる

医学部も他の学部と同様に編入することができます。もちろん、どんな大学でもというわけではなく、編入学試験を実施している大学に限られます。一部私立でも独自に実施している場合がありますが、主に国公立大学と考えていいでしょう。

編入制度が実施されている国公立大学27校/私立大学3校

編入で医学部を目指すのであれば、編入制度を実施している大学を選ぶ必要があります。編入制度を導入している国公立大学26校、私立大学3校は以下の通りです。いずれも2025年度の情報です。

【医学部編入のできる国公立大学】

【医学部編入のできる私立大学】

大学名 募集人数 編入年次
東海大学 10 1
北里大学 若干名 1(後期)
獨協大学 3名以内 1

倍率はおおよそ10~15だが難易度は高い

定員数がそもそも少ないため、倍率は高い傾向にあります。編入の定員数は5名の大学がほとんどで、一番定員数の多い弘前大学でも20名のみとなり、狭き門です。
倍率は2020年実績で6.2~42.8と高倍率です。福井大学がこの年に42.8という高倍率でしたが、全体で見ると10~15程度と言えます。
私立医学部の一般入試では20~30の倍率は当たり前なので、それと比較すると大した数字ではありませんが、狭き門であることは間違いないでしょう。

医学部への編入の大まかな流れ

医学部に編入するまでには、以下の手順で進んでいきます。
1.募集要項の取得(郵送での請求)
2.出願書類の準備と提出(入学願書・志望理由書・推薦書・卒業(見込)証明書・成績証明書・検定料・写真票・受験票・TOEIC/TOEFLスコアシート)
3.書類選考を通過 ※一部大学
4.学力選考を通過
5.面接・小論文選考を通過
6.入学手続き(入学料納付)
7.入学(オリエンテーションなどある場合も)

試験時期や編入時期に注意

一般試験と異なり、編入試験は大学によって実施日が異なります。出願時期を見逃すことのないようにチェックしておきましょう。各大学の2025年度の出願時期と筆記試験の日程は以下のとおりです。

【医学部編入のできる国公立大学】

大学名 出願時期 筆記試験の日程
旭川医科大学 2024年9月2日(月)〜9月6日(金) 2024年10月26日(土)
北海道大学 2024年7月16日(火)〜7月24日(水)(17時まで必着) 2024年8月18日(日)
弘前大学 2024年10月28日(月)〜2024年11月1日(金)(17時まで必着) 2024年11月24日(日)
秋田大学 2024年9月5日(木)〜9月13日(金)(17時まで必着) 2024年10月15日(火)
筑波大学 2024年6月3日(月)〜6月7日(金)必着 2024年7月13日(土)
群馬大学 2024年7月24日(水)〜7月29日(月) 2024年9月1日(日)
東京医科歯科大学 2024年5月13日(月)〜5月17日(金)(15時まで) 2024年6月12日(水)
富山大学 2024年7月22日(月)〜7月26日(金)(17時まで) 2024年9月1日(日)
金沢大学 2024年8月19日(月)〜8月23日(金) 2024年9月20日(金)
福井大学 2024年7月8日(月)〜7月12日(金)(16時必着) 2024年8月31日(土)
浜松医科大学 2024年7月29日(月)〜8月7日(水)(17時まで必着) 2024年8月31日(土)
名古屋大学 2024年5月1日(水)〜5月9日(木)(16時必着) 2024年6月6日(木)
滋賀医科大学 2024年8月26日〜8月30日(金)(17時まで必着) 2024年9月28日(土)
大阪大学 2024年6月3日(月)〜6月7日(金)(必着) 2024年7月6日(土)
神戸大学 2024年7月4日(木)〜7月10日(水)(17時必着) 2024年8月6日(火)
鳥取大学 2024年5月27日(月)〜6月7日(金)(必着) 2024年6月29日(土)
岡山大学 2024年4月10日(水)〜4月19日(金) 2024年6月29日(土)
山口大学 2024年7月29日(月)〜8月1日(木)(17時まで) 2024年9月29日(日)
香川大学 2024年5月7日(火)〜5月17日(金) 2024年6月8日(土)
愛媛大学 2024年6月24日(月)〜6月28日(金)(消印有効) 2024年7月20日(土)
高知大学 2024年6月10日(月)〜6月13日(木) 2024年7月6日(土)
長崎大学 2024年7月12日(金)〜7月19日(金)(17時まで必着) 2024年8月23日(金)
大分大学 2024年4月22日(月)〜4月26日(金)(17時必着) 2024年6月18日(火)
鹿児島大学 2024年5月7日(火)〜5月10日(金)(17時まで必着) 2024年6月1日(土)
琉球大学 2024年8月1日(木)〜8月8日(木)(17時必着) 2024年9月10日(火)

【医学部編入のできる私立大学】

大学名 出願時期 筆記試験の日程
東海大学 2024年10月11日(金)〜10月23日(水)(必着) 2024年11月10日(日)
北里大学 2024年11月1日(金)〜11月7日(木)(当日消印有効) 2024年11月17日(日)
獨協大学 2024年9月2日(月)〜9月13日(金)(必着) 2024年9月28日(土)

医学部を受験するには、4~6年制大学卒業者であることが基本条件

医学部への編入は基本的に「学士編入試験」が基本となります。そのため「編入学試験」とは条件が異なり、受験できる人が絞られます。

「学士編入試験」と「編入学試験」の違い

ざっくり説明すると、下記の違いがあります。
学士編入試験:4年制、または6年制大学を卒業した人が対象
編入学試験:短期大学もしくは高等専門学校の卒業者、大学第2学年の課程修了者などが対象

学士編入試験が多い医学部編入では、選択肢の多さを考えても4年制大学を卒業している必要があると考えていいでしょう。

一部は4年制卒業していなくても受験できる

群馬大学、筑波大学、大分大学は修業年限4年以上の大学において2年以上の在学者(見込みの者を含む)で、指定の単位を修得した者も出願可能です。
東海大学は短期大学、高等専門学校を卒業した者・見込みの者、専修学校の専門課程のうち文部科学大臣の定める基準を満たすのものを修了した者・見込みの者も受験可能です。
詳細の条件は各校異なるので、必ず募集要項を確認してください。

その他、特に条件はなく、誰でも受験可能

医学部医学科をすでに卒業していたり、在学中の方は受験できないという条件はありますが、そのほかの受験要件はなく、誰でも出願可能です。

入試の内容や時期に注意が必要

現在、国立大と私立大を合わせて30の大学の医学部が編入試験を実施していますが、それぞれ入学時期など試験制度変更がある可能性があるので注意が必要です。
一般入試と試験科目も異なります。しっかり確認してください。

筆記試験科目は「生命科学+英語+α」が基本

すでに大学を卒業した人たちを対象にした学士編入試験のため、高校の科目よりも高度な知識と考察力を要求されます。
大まかに分けて、試験科目のパターンは3つに分かれます。
生命科学+英語
生命科学+英語+物理+化学+数学
英語重視
どの大学も求める学力の軸は共通しており、「入学後の生理学や形態学をスムーズに理解できるか」「基礎学力があり、優秀か」という2点を問う内容になっています。

面接と小論文があり、比重が重い

ほとんどの編入学試験で面接と小論文があり、共通してこれが重視されています。
これは医師という職業が人に接する職業で、価値観やコミュニケーションが重要な職業であるためです。
編入試験は「医師になる転職活動」と考えて、試験勉強だけではなく、考え方や価値観の整理を忘れずに行いましょう。

推薦書が必要な場合がある

医学部の編入試験では、推薦書が必要な大学があります。推薦書が必要な場合は、募集要項に出願時に必要な書類として記載されているので、必ずチェックしておきましょう。

推薦書が必要な場合、依頼や準備に時間がかかる可能性があります。出願準備が締め切り間際だと間に合わなくなるおそれがあるため、推薦書は早めに用意を始めましょう。

推薦書は現在所属している大学の教授や、卒業した大学の教授に依頼してください。募集要項に推薦者に関する要件が記されているので、不備がないように事前に確認しておきましょう。推薦者だけでなく推薦書の様式や直筆署名の必要性なども書かれているので、あわせてチェックしてください。

医学部の一般入試と編入試験、どちらを選ぶべきか

医学部の一般入試と編入試験、どちらを選ぶべきか
ここまで編入試験の概要を説明しましたが、医学部に入る方法には当然「一般入試で合格する」という手段も存在します。どちらを選ぶ方が合格に近づくのか悩むと思います。

私立大学医学部を目指すなら一般入試

そもそもほとんどの私立大学の医学部は編入制度を実施していないというのが理由ですが、私立の医学部を目指す場合は一般入試のみ対策して受験する方が合格率が高まるでしょう。
私立医学部を目指すなら、私立医学部併願で、複数校対策する方が確実です。

国公立医学部を目指すなら、得意科目で検討する

正直なところ、一般入試と編入試験、どちらのが有利かは断言できません。
一般入試は数学、英語、理科2科目に加え、共通テストで9割程度の得点を取る必要があり、幅広く高水準の学力が求められます。
編入試験は科目数こそ少ないですが、「生命科学」を独学するのは現実的ではありません。
編入は生命科学と英語、一般はセンター文系科目や数学や化学と、重要科目が全く異なるので、自分が高水準で勝負できる方で対策をするのがいいと思います。

「生命科学」に初めて触れる方は医学部専門予備校に頼るのがいいでしょう。初めて触れる学問を独学でこなすのは時間的に無駄が多くなってしまいます。

両方対策するのは効率低下

前述のように、対策する科目が全く違うため、併願はおすすめできません。
過去問等で情報収集して、どちらで進むかきめたら、その試験の対策のみに絞るほうが合格の可能性は高くなると考えられます。

医学部の編入試験では面接や小論文の対策がとても重要

人の命を預かる仕事に繋がるからこそ、面接が重要視されています

医学部の先にある、「医療従事者」は命に係わる仕事。責任や期待が大きい職業へ進む大学だからこそ、大学側はそれに足る人材を欲しがっています。
医学関連の知識はもちろんのこと、興味関心や考え方を確認されます。

小論文や面接の対策は難しい

小論文や面接は答えがないため、準備が大変難しいです。
読書をして知見を広めたり、想定質問をまとめて回答を考えておいたりとやりようはありますが、基本的には第三者に頼るのがいいでしょう。
面接対策に対応してくれる医学部専門予備校を頼って、面接対策だけでもしてもらうのが一番の近道です。

医学部編入で受かる人は?

医学部編入で受かる人は?
医学部の編入は、学力だけで成功できるとは限りません。求められる人物像についても理解しておきましょう

  • 強い目的意識がある
  • 理系科目の基礎知識がある
  • 自己管理ができる

それぞれの項目について詳しく見てみましょう。

強い目的意識がある

医師としての適性を判断される際には、医療に対する明確で強い目的意識が求められます。医学部での勉強や医師の仕事は決して簡単なものではなく、志半ばで挫折する人も少なくありません。

強い目的意識は、精神的にも体力的にも厳しい勉強や仕事を乗り越えるための大きな糧となります。編入試験の審査においてチェックされるポイントでもあるため、編入試験に臨む前に自分のなかで気持ちを固めておきましょう。

関連記事:社会人・他学部の方向け!ゼロスタートからの医学部合格最短メニュー・必勝法 ~第4弾~

理系科目の基礎知識がある

医学部では理解科目の基礎知識が必須です。文系学部からでも編入できますが、基礎知識として理系を勉強しておかなければ合格は難しいでしょう。

特に、生命科学・数学・化学・物理分野の基礎知識はしっかりと固めておく必要があります。演習をきっちりと行い、編入先の試験内容に対応できるようにしておきましょう。

基礎が不安定なまま独学で勉強を進めると、応用問題で壁にぶつかります。独学で苦戦する場合は、医学部専門予備校でプロの指導を受けることをおすすめします。

自己管理ができる

編入を目指す場合、現在通っている大学の勉強と並行して対策をしなければいけません。社会人の場合は仕事との両立になり、限られた時間で効率的に勉強するにはストイックな自己管理が求められます。

しかし、編入試験に向けた勉強は長期的に続けることが大切です。最初は高いモチベーションで挑めても、中だるみしてしまう人は少なくありません。自己管理が難しい方は、医学部専門予備校など同じ目的を持って勉強に励む仲間と切磋琢磨できる環境に身をおくと、モチベーションを維持しやすくなります。

まとめ

医学部に進学する選択肢として編入試験がありますが、これは4~6年制大学卒業者の選択肢になります。大卒の方でも、得意科目によっては一般入試の方がいい場合があるので、どちらも検討してみてください。ただし、一般と編入試験どちらも受験するのは、幅広い対策が必要になるため効率が下がることに注意しましょう。
編入試験において重要な面接や小論文に不安のある方、生命科学の勉強に不安のある方は、自力での対策はとても難しいので、医学部予備校を利用するべきです。

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